ショートスクイーズ

株価が急に上がったことで、空売りしていた投資家たちが損を減らすために株を買い戻さざるを得なくなり、その結果さらに株価が上がる現象のこと

超簡単な説明

「ショートスクイーズ」は、株を安くなると思っていた人が逆に困ってしまうときのことです。たくさんの人が慌てて株を買うので、株の値段がどんどん上がります。

由来

「ショート（Short）」は空売りを意味します。「スクイーズ（Squeeze）」は「押しつぶす」や「絞り込む」という意味で、空売りしている人たちが苦しい状況に追い込まれることを表しています。

具体的な説明

空売りをしている投資家は、株価が下がると利益を得る仕組みですが、逆に株価が上がると損失になります。株価が急上昇すると、空売りしていた人たちは損を拡大しないよう、急いで株を買い戻します。この「買い戻し」がさらに株価を押し上げる連鎖が起きるのが、ショートスクイーズです。特に、株価が予想外に急騰した場合にこの現象がよく起こります。

例文

「ショートスクイーズは、特定の銘柄に空売りが集中している場合に起こりやすい現象です。特に取引量が少なく流動性の低い銘柄では、短期間で大きな価格変動を引き起こす可能性があります。このため、空売りする際には注意が必要です。」

よくある疑問

空売りって何ですか？
空売りは、持っていない株を借りて売ることです。株価が下がったときにその株を買い戻して利益を出します。

どうして株を買い戻すと値段が上がるのですか？
みんなが同じ株を買おうとすると、その株の人気が上がって、値段も上がるからです。

なんでショートスクイーズが起きるのですか？
空売りしている人が多いときに、株価が急に上がると、損を避けるために急いで買い戻す人が増えるからです。

ショートスクイーズは悪いことですか？
悪いことではありませんが、株価が不自然に上がるので、リスクが高くなることがあります。

ショートスクイーズはよく起きますか？
めったに起きませんが、ニュースで話題になるような大きな出来事のときには起こることがあります。

なんでみんな下がると思ったのにあがるの？

みんなが「下がる」と思ったときに、予想外の出来事が起こると株価が上がることがあるんです。

たとえば、こんな場合を考えてみてください：

良いニュースが出た場合
ある会社の株が下がると思われていたけれど、突然「新しい商品が大ヒットしそう」というニュースが出たとします。このニュースでみんなが「やっぱりこの会社は良いかも！」と思って株を買い始めると、株価が上がります。
予想以上の業績が発表された場合
会社の売上や利益が予想よりずっと良い結果だとわかると、「この株を持っていたほうが得だ！」と思う人が増えて買いが集中し、株価が上がることがあります。
空売りのしすぎ
みんなが「下がる」と思いすぎて空売りをたくさんすると、その株が少しでも上がるだけで「やばい！損する！」と空売りしていた人たちが慌てて買い戻します。これがショートスクイーズを引き起こすことになります。

つまり、「予想外のこと」や「いいニュース」が起きると、下がると思っていた株が急に上がることがあるんですよ！人間は未来を正確に予測するのが難しいから、こういうことが起きるんです。

悪いニュースで下がると思っていたのに上がるのはなぜ？

悪いニュースが出たのに株価が上がるのは、人々の期待や行動がその「悪いニュース」によって変わるからです。いくつかの理由を挙げて説明します。

すでに「悪いニュース」が株価に反映されている場合
たとえば、ある会社が「利益が減るかも」という悪いニュースが出たとします。でも、そのニュースが出る前から、みんなが「きっと悪い結果が出るだろう」と思って株を売っていた場合、すでに株価が下がっています。もしそのニュースが「思ったより悪くなかった」という結果だったら、「それなら買い戻そう！」と株を買う人が増え、逆に株価が上がることがあります。
市場が「もっと悪いニュース」を予想していた場合
「これくらいの悪いニュースなら、大丈夫だ」と思う人がいると、みんなが安心して株を買い始めることがあります。これは「期待値を超えた」結果です。たとえば、みんなが「倒産しそう」と思っていた会社が、「赤字だけど倒産はしない」と発表すると、意外とポジティブに受け取られることがあります。
長期的にはプラスと判断された場合
短期的には悪いニュースでも、それが会社の未来にとってプラスになることがあります。たとえば、会社がコスト削減のためにリストラ（人員削減）をするというニュースは一見悪いようですが、「これで将来の利益が増える」と考えた投資家が株を買うこともあります。
空売りが多かった場合
悪いニュースで「もっと下がるだろう」と多くの人が空売りをしていると、株価が思ったより下がらなかったときに「やばい、損をする！」と慌てて買い戻す人が出てきます。この動きが株価を押し上げることがあります。

ショートスクイーズの事例を教えて

ショートスクイーズの典型的な事例として、以下のものがあります。

1. フォルクスワーゲン（Volkswagen）の事例（2008年）

2008年10月、ドイツの自動車メーカー、フォルクスワーゲンの株価がわずか2日間で210ユーロから1,000ユーロへと約5倍に急騰しました。これは、ポルシェがフォルクスワーゲンの議決権株式の74%を掌握していると発表したことがきっかけでした。このニュースにより、空売りをしていた投資家たちは損失を避けるために急いで株を買い戻し、結果として株価がさらに上昇するショートスクイーズが発生しました。

2. テスラ（Tesla）の事例（2020年）

2020年、アメリカの電気自動車メーカー、テスラの株価が急上昇しました。当時、テスラの株はナスダック市場で最も空売りされている銘柄の一つでしたが、予想を上回る第4四半期決算などが投資家に好感され、株価は約400ドルから900ドル近くまで上昇しました。（テスラは2020年8月に5対1の株式分割を実施）この急騰により、空売りをしていた投資家たちは損失を避けるために買い戻しを行い、ショートスクイーズが発生しました。

余談

「ショートスクイーズ」の反対としてよく挙げられるのが、ロングスクイーズです。

ロングスクイーズは、株を「買い持ち（ロングポジション）」している人たちが、株価が急落した際に損失を避けるために株を売ることで、さらに株価が下がる現象を指します。

ショートスクイーズは、空売りしている人たちが損失を避けるために株を買い戻すことで株価が上昇する現象。

「ロングスクイーズ」があまり使われない理由について、いくつかのポイントを挙げてみます。

1. 投資家心理の違い

**空売り（ショート）**をしている投資家は、株価が上がると理論上損失が無限大になるリスクがあります。このため、損失回避のために急いで株を買い戻す動きが目立ちやすく、ショートスクイーズが話題になるのです。
**買い持ち（ロング）**の場合、株価がゼロになるとそれ以上損失が広がりません。そのため、慌てて売る動きが起きても、ショートスクイーズほどの急激なインパクトにはなりにくいのです。

2. 頻度の違い

ショートスクイーズは、特定の株に空売りが集中している状態でよく発生します。空売り残高が多い銘柄が注目されやすいこともあり、市場で起きる頻度が比較的高いです。
一方で、ロングスクイーズは個別の銘柄よりも、全体的な市場の下落（暴落）時に広がることが多いです。そのため、特定の銘柄を語る文脈で使われることが少ないのです。