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チャールズ・エリス著『敗者のゲーム』第8版:10年遅れで学んだ投資の真実

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moomoo証券【WEB】
  1. はじめに:10年間、私が投資を始められなかった理由
  2. 1. 「敗者のゲーム」とは?:なぜ努力が裏目に出るのか
    1. テニスの試合から学ぶ投資の本質
    2. 市場はいつ変わったのか?
    3. プロ同士の戦いだからこそ、アマチュアが勝てない
  3. 2. 「市場に勝つ」という幻想:アクティブ運用が勝てない構造的理由
    1. スキルが高まると運の影響が大きくなる?
    2. 「効率的市場」という現実
    3. アクティブファンドが長期的に勝てない3つの理由
  4. 3. 勝つための唯一の戦略:インデックス投資という解答
    1. ファンドの種類を比較してみましょう
    2. インデックス投資が優れている最大の理由
    3. インデックス投資を成功させる2つの大切なポイント
  5. 4. 第8版が教える現代の課題:2020年代の投資環境
    1. 課題1:コロナショックが証明した「市場タイミングの不可能性」
    2. 課題2:低金利時代の債券問題——安全資産が機能しない時代
    3. 課題3:若い世代へのメッセージ——時間という最強の武器
  6. 5. 投資家にとって最大の敵:自分自身の心理バイアス
    1. 投資家が陥りやすい3つの心理的な罠
    2. 感情に流されないための「仕組み作り」
  7. 6. 長期的なポートフォリオの設計:あなただけの設計図を描く
    1. 資産配分とリバランス
    2. 人的資本という視点
  8. 7. 私がやっていること
  9. おわりに:完璧を目指さず、今日から始めよう
    1. 本書から得られる3つの核心的な教訓
    2. 投資の本当の目的——そして、私からあなたへ

はじめに:10年間、私が投資を始められなかった理由

「投資を始めたいけど、怖い」

10年前の私は、投資の本を何冊も読みながら、そう思っていました。知識は増えていく。でも、どうしても最初の一歩が踏み出せない。「もう少し勉強してから」「タイミングが悪い」「今は相場が高すぎる」——そんな言い訳を繰り返しながら、気づけば10年が経っていました。

ようやく重い腰を上げて投資を始めたとき、私が最初に選んだのは個別株でした。「この会社は将来伸びそうだ」という雰囲気で銘柄を選び、株価が下がると怖くなって損切り。今思えば、典型的な失敗パターンです。

そんな私が、チャールズ・エリスの『敗者のゲーム』に出会ったのは、まさにそのタイミングでした。この本を読んだとき、ページをめくる手が震えました。「ああ、私がやろうとしていたことは、最初から負けが決まっているゲームだったんだ」と。

この記事では、投資の世界では知らない人がいないほどの名著『敗者のゲーム』の最新第8版を、私自身の失敗と後悔を交えながらご紹介します。特に2020年のコロナショック、歴史的な低金利、AIによる超高速取引といった現代特有の課題に、エリスがどう答えているのか。10年前の私のように、投資に興味はあるけれど踏み出せない方、あるいは個別株で思うような成果が出ずに悩んでいる方に、ぜひ読んでいただきたいと思います。

著者のチャールズ・エリスさんは、ゴールドマン・サックスなど大手金融機関や、世界トップクラスの運用実績を誇るイエール大学財団のアドバイザーを長年務めてきた、投資コンサルティングの第一人者です。

エリスさんが本書で一貫して伝えているメッセージ、それは「市場に勝とうと頑張るのではなく、市場全体の成長の恩恵を素直に受け取りましょう」というものです。一見すると消極的に聞こえるかもしれません。でも実は、これこそが現代の市場の仕組みを深く理解した上で導き出された、最も合理的で、歴史的なデータにも裏付けられた確かな戦略なんです。

この考え方の中心にあるのが、本書のタイトルにもなっている「敗者のゲーム」という概念です。次の章で、この比喩が現代の市場をいかに的確に表現しているか、詳しく見ていきましょう。

1. 「敗者のゲーム」とは?:なぜ努力が裏目に出るのか

投資で成功するための第一歩は、私たちが参加している「ゲーム」のルールと性質を正しく理解することです。エリスさんは、現代の株式市場を「敗者のゲーム」だと表現し、多くの投資家が気づいていない重要なポイントを指摘しています。

テニスの試合から学ぶ投資の本質

この概念は、もともと科学者のサイモン・ラモさんがテニスの試合を分析した研究から生まれました。ラモさんはテニスを「プロの試合」と「アマチュアの試合」に分けて、その勝敗の決まり方が全く違うことを発見したんです。

勝者のゲーム(プロの試合)
強力なサーブや絶妙なボレーなど、優れたプレーによってポイントを「勝ち取る」ことで勝敗が決まります。

敗者のゲーム(アマチュアの試合)
ダブルフォルトやアウトボールなど、自分のミスによってポイントを「失う」ことで勝敗が決まります。

エリスさんは、このテニスの例を投資の世界に当てはめました。昔の株式市場は、情報を持っている人とそうでない人の差が大きくて、一部のプロが情報の優位性を活かして勝てる「勝者のゲーム」だったんです。

市場はいつ変わったのか?

1960年代や70年代の市場は、裕福な個人投資家が朝の新聞を読みながら証券会社に電話をかけるような、もっとのんびりした時代でした。でも、現代の株式市場は大きく様変わりしました。

今では、市場での取引の9割以上が、最高の教育を受けて最新のツールを使いこなす機関投資家(プロ)によって行われています。彼らは、ブルームバーグ・ターミナルのような高度な情報端末を使って、企業の財務データはもちろん、衛星写真で工場の稼働状況をリアルタイムでチェックするような、驚くべき情報まで瞬時に手に入れているんです。

そして第8版で強調されているのが、AIとアルゴリズム取引の台頭です。今や、人工知能が人間には理解不可能な速度で情報を処理し、ミリ秒単位で売買判断を下しています。これはもう、スーパーコンピューター相手にチェスで挑むようなものです。

こんな優秀なプロたちと最新テクノロジーがしのぎを削る市場で、私たち個人投資家が頻繁に売買を繰り返して「市場に勝とう」とするのは、アマチュアがプロのテニストーナメントに飛び込んで、無理なショットを打ちまくるようなものです。

プロ同士の戦いだからこそ、アマチュアが勝てない

ここで重要なのは、「プロが多い」ということではありません。プロ同士が互いにミスを削り合っているため、もはや個人投資家が出し抜く隙がないということなんです。

結果として、高い手数料や税金、そして売買タイミングの失敗といった「ミス」を重ねて、自分で自分の首を絞めることになってしまいます。だからこそ、現代の投資は「敗者のゲーム」であり、勝つためには「ミスをしないこと」、つまり市場平均に負けない戦略こそが最善の道となるわけです。

2. 「市場に勝つ」という幻想:アクティブ運用が勝てない構造的理由

「市場に勝ちたい」という気持ち、とてもよくわかります。私も最初はそう思っていました。でも実は、この目標を追いかけることが、現代の市場ではあまり賢い選択ではないんです。

スキルが高まると運の影響が大きくなる?

「スキルのパラドックス」という興味深い現象があります。市場参加者のレベルが上がれば上がるほど、皮肉なことに「運」の要素が結果を左右しやすくなるんです。

オリンピックの100m走決勝を想像してみてください。出場選手は全員が世界最高峰のアスリートで、その差はコンマ数秒の世界です。そうなると、その日の体調や風向きといった、コントロールできない偶然の要素が、メダルの色を決めてしまうんですね。

現代の金融市場も同じです。プロのファンドマネージャーは皆、同じように優秀で勤勉なので、実力で差をつけるのがとても難しくなり、結果は運に大きく左右されるようになったというわけです。

「効率的市場」という現実

現代の市場では、新しい情報が出ると、あっという間に世界中に広まって株価に反映されます。私たちが見ている株価というのは、何万人もの優秀な専門家たちと何万台ものスーパーコンピューターが必死で分析して、売りと買いのバランスから導き出された、今の時点で最も妥当だと考えられる価格なんです。

この価格が間違っていると賭けることは、「世界中の知恵を集めた結論に異を唱える」ようなものです。公開されている情報から市場平均を超える利益を得るチャンスは、生まれた瞬間に消えてしまうんですね。

アクティブファンドが長期的に勝てない3つの理由

市場平均を上回ることを目指すアクティブファンドの多くが、長期的にはインデックスファンドに負けてしまう。その理由は、次の3つの構造的な問題にあります。

1. 高コストという確実なマイナス
アクティブ運用には、詳しい調査にかかる費用、頻繁な売買の手数料、そして高い信託報酬がかかります。リターンは不確実なのに、コストは確実にリターンを削っていく「確実なマイナス要因」です。

具体的に言うと、年率0.5%の手数料の差が、30年後には数百万円、場合によっては老後資金の2〜3年分に相当する差を生み出してしまうんです。長期間にわたる複利の効果で、このコストの差は想像以上に大きな影響を及ぼします。

2. 構造的なジレンマ(利益相反の問題)
ファンドマネージャーは、お客様の資産を増やすことを期待されています。でも同時に、運用会社という営利企業の従業員でもあります。そのため、運用成績よりも、手数料収入が見込める売りやすい商品(例えば、話題のテーマ型ファンドなど)の開発・販売が優先されてしまうという、構造的な問題があるんです。

3. クローゼット・インデックス運用という罠
市場平均から大きく外れた運用で失敗するリスクを恐れて、多くのファンドマネージャーは、実はベンチマーク(市場平均)とほぼ同じような無難なポートフォリオを組んでいることがあります。これを「クローゼット(隠れ)インデックス運用」といいます。実質的にはインデックスファンドと変わらない内容なのに、高い手数料だけは取られるという、投資家にとって最悪の状態です。

3. 勝つための唯一の戦略:インデックス投資という解答

市場の非効率性に賭けるという難しい道を選ぶのではなく、市場の効率性を素直に受け入れて、その力を最大限に活用する。それこそが、「敗者のゲーム」で勝利を収めるための、最も合理的で確実な戦略です。その答えが、インデックスファンドの活用なんです。

ファンドの種類を比較してみましょう

ファンドの種類目的と方法特徴
アクティブファンド市場平均を上回ることを目指して、銘柄選びや売買を積極的に行うコストが高い、プロが運用、大多数が長期では市場平均に負ける
インデックスファンド市場平均と同じリターンを目指して、市場全体を保有するコストが低い、仕組みがシンプル、市場の成長を確実に享受できる

インデックス投資が優れている最大の理由

インデックス投資が論理的に優れている最大の理由、それは圧倒的な低コストにあります。エリスさんは「コストを抑えることは、リスクを取らずにリターンを向上させる唯一の方法だ」とはっきり述べています。

市場のリターンは不確実ですよね。でも、コストの削減は投資家自身が確実にできる、唯一のコントロール可能な要素なんです。これって、実はとても重要なポイントなんですよ。

インデックス投資を成功させる2つの大切なポイント

1. グローバルな分散投資の重要性
多くの方は、親しみを感じる自分の国の資産に偏ってしまいがちです。これを「ホームカントリーバイアス」といいます。でも、特定の国や地域に資産を集中させるのは、実は大きなリスクを伴います。世界経済全体の成長を取り込むために、全世界の株式市場に広く分散投資することが、最も合理的な選択となるんです。

2. マイナスサム・ゲームの仕組みを理解する
市場参加者「全体」のリターンを考えてみましょう。その合計は必ず、市場平均リターンから運用コスト(手数料や税金)を引いたものになります。これは、参加者のリターンの合計がゼロより少なくなる「マイナスサム・ゲーム」です。

カジノを想像してみてください。お店側が手数料を取り続ける限り、お客さん全体の収支は必ずマイナスになりますよね。市場も同じ構造なんです。この仕組みを理解すれば、なぜインデックス投資が有利なのか、論理的に納得できるはずです。

4. 第8版が教える現代の課題:2020年代の投資環境

ここからが、第8版ならではの重要なポイントです。投資の基本原則は変わりませんが、私たちを取り巻く環境は大きく変化しました。エリスは第8版で、現代特有の3つの課題に正面から向き合っています。

課題1:コロナショックが証明した「市場タイミングの不可能性」

2020年3月、新型コロナウイルスのパンデミックで市場は大暴落しました。私の周りでも、多くの投資家がパニックになって売却しました。「これは終わりだ」「しばらく回復しない」——そんな声があちこちから聞こえました。

でも、その後何が起きたでしょうか?市場は驚異的な速度で回復し、わずか数ヶ月で史上最高値を更新したんです。暴落時に売却した人たちは、その後の急回復を完全に逃してしまいました。

エリスは第8版で、このコロナショックを詳細に分析し、次のように述べています。「短期間での暴落と、その後の前例のないスピードでの回復、そして最高値更新という一連の動きは、市場のタイミングを予測することが不可能であることを、改めて証明した」

この教訓は、10年前の私にこそ必要だったものです。「今は高い」「もう少し待てば下がるはず」——そう思って始められなかった私は、その間の市場の成長を丸ごと逃してしまったのですから。

課題2:低金利時代の債券問題——安全資産が機能しない時代

第8版で最も重要な更新の一つが、債券投資に関する見直しです。

従来の投資理論では、「株式はリスクが高いがリターンも高い」「債券は安全だがリターンは低い」という役割分担がありました。多くの投資本では、年齢に応じて債券の比率を増やすことが推奨されてきました。

しかし、世界的な低金利政策の影響で、債券の利回りは歴史的な低水準にまで低下しました。エリスは、かつては株式のリスクを相殺する安全資産としての役割を果たしていた債券が、そのメリットを失いつつあると指摘しています。

では、どうすればいいのか?

エリスは、投資家の状況によっては債券の比率を下げ、株式や現金の比率を高めるといったポートフォリオの再考を促しています。ただし、これは一律の答えではありません。あなたの年齢、リスク許容度、資産状況によって最適解は変わります。

特に若い世代については、次のような希望のメッセージが添えられています。

課題3:若い世代へのメッセージ——時間という最強の武器

第8版では、年金制度や経済への不安を抱える若い世代に向けたメッセージも強化されています。

「若者には『時間』という最大の武器がある」とエリスは言います。少額からでも早く投資を始めることで、複利の力を最大限に活用できる。そして、長期的には市場の一時的な変動は誤差の範囲に収まっていく——だから、今すぐ始めることが、将来の不安を軽減する最良の方法なのだと。

これは、10年遅れで投資を始めた私に最も刺さる言葉です。もし10年前に始めていたら、今頃どうなっていただろう?その後悔は消えません。でも同時に、「今日が残りの人生で最も若い日」でもあるんです。

5. 投資家にとって最大の敵:自分自身の心理バイアス

どんなに優れた戦略を手にしても、それを使う私たち自身の心理が最大の壁になります。投資の成否を分ける最大の要因は、実は金融知識の深さや情報収集能力よりも、自分自身の感情をコントロールする力にあるんです。

投資家が陥りやすい3つの心理的な罠

1. 市場タイミングの幻想と「稲妻が輝く瞬間」
市場の短期的な動きを正確に予測することは、プロでも不可能です。エリスさんが「稲妻が輝く瞬間」と呼ぶように、市場のリターンの大部分は、ごくわずかな急騰日に集中しているんです。

驚くべきことに、歴史的なデータを見ると、市場が最も上昇したほんの数日を逃すだけで、資産の増加幅が半分以下になってしまうことがわかっています。だから、鉄則はたった一つ。「常に市場にい続けること」なんです。

2. 損失回避性と感情の暴走
人間は、利益を得る喜びよりも損失を被る苦痛を2倍以上強く感じる「損失回避性」という性質を持っています。このため、市場が下落すると、多くの方が恐怖に駆られて底値で資産を売ってしまいます(これを「狼狽売り」といいます)。

私が個別株で失敗したのも、まさにこれでした。株価が下がると怖くなって、「これ以上損をしたくない」という感情に支配されて損切りしてしまう。そして、その後に株価が回復するのを、ただ見ているだけ——これほど悔しいことはありません。

3. 自信過剰と確証バイアス
多くの人は自分の能力を過大評価して(自信過剰バイアス)、自分の考えを支持する情報ばかりを集めて反対意見を無視する(確証バイアス)傾向があります。これによって、「自分だけは市場に勝てる」と信じ込んで、頻繁な売買を繰り返してしまうんです。

研究によると、売買頻度が高い投資家ほどパフォーマンスが悪くなることが明らかになっています。

感情に流されないための「仕組み作り」

こうした心理的な弱点に対抗するため、エリスさんは感情を排除した「仕組み」を作ることを強く勧めています。

1. 投資方針書を作ろう
自分の投資目的、期間、どのくらいのリスクなら耐えられるか、資産配分などを、あらかじめ文書にしておくんです。これは、市場がパニックや熱狂に包まれた時に立ち返るべき「自分自身との約束」になります。

正直に言うと、これは実行ハードルが高いです。でも、もっと泥臭い方法もあります。暴落時にはスマホの証券アプリを消してしまう。パスワードをわざと忘れるくらいが丁度いい——そんな「自分を自分から守る」工夫も有効なんです。

2. ドルコスト平均法の本当の価値
毎月一定額を機械的に積み立てるこの方法の本当の価値は、投資判断から感情を完全に取り除く「仕組み」として機能する点にあります。

ギリシャ神話のオデッセウスの話を知っていますか?彼は、セイレーンという怪物の魅惑的な歌声に惑わされないように、自分自身を船のマストに縛り付けたんです。自動積立という仕組みを作ることで、私たちも自分を合理的な計画に縛り付けて、感情という誘惑から身を守ることができるんです。

6. 長期的なポートフォリオの設計:あなただけの設計図を描く

投資の成果の9割以上は、どの個別銘柄を選ぶかや、いつ売買するかといった細かい判断ではなく、ポートフォリオ全体の構造、つまり「資産配分」によって決まるという事実があります。これが、資産形成で最も重要な戦略的な決断なんです。

資産配分とリバランス

**資産配分(アセットアロケーション)**とは、株式、債券、現金など、それぞれ異なる動き方をする資産を組み合わせることです。これによって、ポートフォリオ全体のリスクを分散させて、長期的に安定したリターンを目指します。

一度決めた資産配分の比率は、市場の動きによって崩れていきます。「リバランス」とは、値上がりして比率が高くなった資産を一部売って、値下がりして比率が下がった資産を買い足すことで、元の比率に戻す作業のことです。

この行動は、感情的には「調子の良い投資から降りて、調子の悪い投資に乗り換える」ようなもので、直感に反しますよね。だからこそ、事前に決めた計画に従って機械的に実行することが大切なんです。

人的資本という視点

総合的なポートフォリオという考え方は、金融資産だけでなく、私たちの最も重要な資産、つまり将来働いて稼ぐ力である「人的資本」にまで広がります。

**若い時期:**これから長く働ける若い方は、豊富な人的資本(債券のように安定的な資産)を持っています。そのため、金融資産では株式などのリスクを高めに取ることが、全体で見ればバランスの取れた合理的な戦略になります。

**退職後:**人的資本が減ってくる退職後には、金融資産で生活を支える必要が高まります。そのため、ポートフォリオのリスクを抑えて、資産を守ることを重視した運用に切り替えていく必要があるんです。

7. 私がやっていること

ここまで、エリスの教えを忠実にお伝えしてきました。でも、正直に言うと、私自身は完璧にこの原則を守れているわけではありません。

現在の私のポートフォリオは、資産の大部分(約70%)をインデックスファンド(全世界株式やS&P500)で運用しています。これがコア部分です。でも同時に、AI関連株への投資比重も高めています。そして、一部で高配当株も保有しています。

これは、エリスの「市場全体に投資せよ」という教えと明らかに矛盾します。

なぜそうしているのか?理由は2つあります。

一つは、分析の結果、AI革命は市場平均を大きく上回るリターンをもたらす可能性があると判断したからです。これは合理的な判断のつもりです。

でも、もう一つの理由は、もっと感情的なものです。その企業の製品が世の中に広まることにワクワクするから。応援したい企業だからです。

投資の教科書的には、これは間違っているかもしれません。でも、人生は数字だけじゃない。自分が信じる未来に賭けることで、投資が単なる資産運用を超えた「参加」になる。そんな面白さも、私は大切にしたいと思っています。

これを「コア・サテライト戦略」と呼びます。資産の大部分(コア)はエリスの教え通り、低コストのインデックスファンドで堅実に。でも一部(サテライト)では、自分なりの分析や情熱に基づいた投資も楽しむ。

**大切なのは、この比率を守ることです。**サテライト部分が気づけば資産の半分を超えていた——そうなると、それはもうコア・サテライト戦略ではなく、ただのギャンブルになってしまいます。

おわりに:完璧を目指さず、今日から始めよう

チャールズ・エリスの『敗者のゲーム』が教えてくれる哲学は、単なる投資のやり方の説明にとどまりません。それは、私たちの限られた資源(時間、エネルギー、集中力)を人生で何に使うべきかという、もっと根本的な問いに対する深い洞察を与えてくれるんです。

本書から得られる3つの核心的な教訓

1. コントロールできることに集中する
市場の短期的な動きや経済の先行きは、誰にもコントロールできません。私たちが力を注ぐべきは、コスト、貯蓄率、資産配分といった、完全に自分でコントロールできる要因です。不確実な外の状況に心を乱されるのではなく、確実にコントロールできる内側の要因を管理することこそが、成功への道なんです。

2. シンプルさを追求する
複雑な金融商品は、多くの場合、高いコストと見えにくいリスクの原因になります。最良の解決策は、驚くほどシンプルです。全世界の株式市場に低コストで分散投資するインデックスファンドを中心にして、規律正しく積立を続ける。このシンプルさの中にこそ、投資の本当の答えがあるんです。

3. 合理的な楽観主義を貫く
歴史を振り返ってみると、市場は数々の戦争、恐慌、パンデミックを乗り越えて、長期的には右肩上がりの成長を続けてきました。これは、歴史とデータに裏付けられた資本主義経済の成長力への信頼です。短期的な悲観論に惑わされず、人類の進歩を信じて市場に留まり続けること。それこそが、最終的に富を築く人々の共通点なんです。

投資の本当の目的——そして、私からあなたへ

投資は、それ自体が人生の目的ではありませんよね。それは、私たちが本当に大切にしたいこと、例えば家族と過ごす時間、趣味への情熱、社会への貢献などを実現するための、強力な「道具」なんです。

エリスさんが提案するように、インデックス投資というシンプルな戦略を選ぶことで、投資に使う時間と精神的なエネルギーを最小限に抑えられます。そして、その分を人生のより豊かな側面に向けることができるんです。

投資を面白くしようとする心が、最大の損失を招く。 これは、エリスの教えに込められた、少し毒のあるメッセージです。でも、これは真実です。退屈な投資こそが、最も確実な道なんです。

10年前の私に戻れるなら、こう言ってやりたい。「完璧なタイミングなんて待つな。完璧な知識なんて必要ない。今すぐ始めろ。少額でいいから、とにかく始めろ」と。

でも、過去は変えられません。変えられるのは、今日からの行動だけです。

この記事を読んでくださったあなたが、もし投資を始めることに躊躇しているなら。もし、アクティブ運用で疲弊しているなら。もう一度、立ち止まって考えてみてください。

日々の株価の変動に心を乱されることなく、夜もぐっすり眠れるようになること。この『敗者のゲーム』の原則を実践することで、すべての投資家の方が「静かな自信」という理想的な境地を手に入れて、より豊かで充実した人生を歩んでいけることを、心から願っています。

今日が、残りの人生で最も若い日です。

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