ROE(自己資本利益率)とは、株主のお金である自己資本を使って、会社が1年間にどれだけの利益(当期純利益)を上げたかを示す割合のことです。この記事では、計算方法、PER・PBRとの関係、ROEを見るときの注意点を説明します。
超簡単な説明
ROEは「株主から預かったお金100円で、1年に何円の利益を出したか」を示す数字です。ROEが10%なら、自己資本100円あたり10円の利益を出したことになります。

この用語が投資にどう影響するか
出会う場面 決算短信の1ページ目にある「自己資本当期純利益率」がROEです。会社四季報や証券会社の銘柄ページにも載っています。また、中期経営計画で「ROE10%以上」のように目標として掲げる会社もあります。
株価との関係 ROEはPER・PBRと次の関係でつながっています。PBR=PER×ROE です。たとえばPERが15倍の会社なら、ROEが5%のときPBRは0.75倍、ROEが10%のときPBRは1.5倍になります。株価が利益の何倍まで評価されるか(PER)が同じなら、ROEが高い会社ほど、純資産に対して株価が高くなる関係です。
日本で注目される理由 2014年に経済産業省が公表した「伊藤レポート」は、日本企業に「最低限8%を上回るROE」を目指すよう提言しました。さらに東京証券取引所は2023年3月、プライム市場とスタンダード市場の全上場会社に「資本コストや株価を意識した経営」を求める要請を出しています。この要請への対応として、ROEと資本コストを比べて説明する会社もあります。
判断での使い方と注意点
- 1年分だけでなく、5年ほどの推移を見る。一時的な利益で1年だけ高いこともあります。
- 同じ業種の会社と比べる。業種によってROEの水準は大きく違います。
- 自己資本比率も一緒に見る。借入れを増やして自己資本を小さくしても、ROEは上がります。
- 自社株買いや配当で自己資本が減ると、利益が同じでもROEは上がります。数字が上がった理由を確かめましょう。
- 赤字の年はROEがマイナスになります。債務超過(自己資本がマイナス)の会社では、ROEの数字自体に意味がなくなります。
計算方法
ROE(%)= 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100
決算短信のROEは、分母に「前期末と当期末の自己資本の平均」を使います。ここでいう自己資本は、純資産から株式引受権・新株予約権・非支配株主持分を除いたものです。連結決算では、分子に「親会社株主に帰属する当期純利益」を使います。
| 項目 | A社 | B社 |
|---|---|---|
| 当期純利益 | 50億円 | 50億円 |
| 自己資本(平均) | 500億円 | 1,000億円 |
| ROE | 10% | 5% |
同じ50億円の利益でも、少ない自己資本で上げたA社のほうがROEは高くなります。
ROEは、次の3つに分けて考えることもできます(デュポン分解)。
ROE = 売上高純利益率 × 総資産回転率 × 財務レバレッジ
「よく稼いでいるから高い」のか「資産を効率よく回しているから高い」のか「借入れが多いから高い」のかを見分けるのに役立ちます。
由来
英語の「Return on Equity」の頭文字です。Returnは利益、Equityは株主の持ち分(自己資本)を意味します。
例文
「この会社は自社株買いでROEが上がったが、利益そのものは横ばいだった。」
よくある質問
Q: ROEは何%なら良いの?
A: 一律の基準はありません。業種によって水準が違うためです。目安としては、伊藤レポートが示した「8%」がよく引用されます。
Q: ROEとROAの違いは?
A: ROEは自己資本(株主のお金)で割り、ROA(総資産利益率)は借入れも含めた総資産で割ります。借入れが多い会社ほど、ROEとROAの差は大きくなります。
Q: ROEはどこで調べられるの?
A: 決算短信の1ページ目の「自己資本当期純利益率」の欄で確認できます。
関連する用語
参考資料
- 日本取引所グループ 用語集「自己資本当期純利益率」(2026年11月7日確認)
- 経済産業省「持続的成長への競争力とインセンティブ」プロジェクト(伊藤レポート)最終報告書(2014年8月)
- 日本取引所グループ「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」(2026年11月7日確認)


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